(特活)地雷廃絶日本キャンペーン プレス・リリース 2013年11月28日 発表

犠牲者数、地雷原が減少
―新たな犠牲者数、地雷原 大幅に減少 地雷なき世界へ目覚しい進展―
”Landmine Monitor Report 2013”発表

“Landmine Monitor Report 2013”が、本日2013年11月28日に発表されました。この最新版では、1997年の対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)成立以降、この1年間に新たに地雷の犠牲になった人が最も少なく、除去や調査により「地雷なし」とされた土地が最も多く報告されています。現在オタワ条約の締約国は、161ヵ国です。来月、12月2‐6日にジュネーブで開催される締約国会議では、オタワ条約加盟の可否を含めた地雷政策の見直しを検討しているアメリカがどのような決断を下したのか発表される予定です。
本報告書では、以下のことが報告されています。

地雷の使用
・2011年にはイエメンは締約国であるにも関わらず、2カ所(バニ、および首都サナの経済産業省内)においてイエメン政府軍が大量の対人地雷が埋設した。
・締約国、南スーダン、スーダン、トルコにおいても対人地雷が使用された疑いがある。
・非締約国、シリアとミャンマーの政府軍は、2012年、2013年に対人地雷を使用した。
・ナゴルノカラバフでも軍隊が2013年に新たに地雷を使用した。
・非国家武装グループによる対人地雷の使用は8ヵ国(アフガニスタン、コロンビア、ミャンマー、パキスタン、シリア、タイ、チュニジア、イエメン)で確認されている。特に多くの非国家武装グループの存在するシリアとチュニジアでの地雷使用は、ここ5年間で最悪のレベルに達している。

被害者数
・2012年の新たな地雷/不発弾の被害者数(報告された数)は3,628人で、昨年報告された被害者数4,286人より19%減少した。
・被害者は62の国と地域で確認され、そのうち42ヵ国は条約の締約国である。
・全被害者のうちの一般市民の割合は78%となり、2011年よりも5%高くなっている。
・子どもの被害者の割合は、一般市民の被害者のうちの47%にのぼり、女性の被害者も13%と昨年より上昇した。

被害国と地雷除去
・地雷による汚染は、59ヵ国・4つの地域に及んでいる(2013年10月現在)。また、それ以外の8ヵ国でも地雷が埋設されていると考えられている。
・2012年には、地雷除去や調査の結果として少なくとも218平方キロメートルが開放され、24万個の対人地雷、9,200個の対車両地雷が廃棄された。
・地雷除去が最も進んだのは、アフガニスタン、カンボジア、クロアチア、スリランカで、これらの国で全体の62%を占めている。
・過去10年間では、1,981平方キロメートルが地雷除去や調査の結果で開放され、330万個の地雷が撤去された。
・2012年には、コンゴ、デンマーク、ガンビア、ヨルダン、ウガンダで地雷の除去が終了、地雷除去を終えた国は24ヵ国となった。

地雷対策と国際協力
・ドナー国と被害国自身による2012年の地雷対策への拠出額は全世界で6億8100万ドルに上る(国際的な支援は、4億9700万ドル)。これは前年より1900万ドルの増加である。
・52ヵ国と4つの地域が4億3900万ドルを39ヵ国のドナー国から受け取った。
・28の地雷被害国が1億8400万ドルを各自の自国の地雷対策に充てている。これは、2011年よりも1100万ドル減少した。
・国連は9つのPKOにおける地雷対策に1億1300万ドルを提供した。これは2011年よりも25%の増加である。

JCBL代表理事 北川 泰弘のコメント
オタワ条約関連でこの1年の話題は、条約に署名したのみで未批准だった2カ国のうち、ポーランドが批准したことである。残るマーシャル諸島の早期の批准が望まれる。
”Landmine Monitor Report 2013” がNGOの目で見たオタワ条約のこの1年の進捗状況を報告しているのに対し、来る12月の第13回締約国会議で正式に審議されるのは、2009年の第2回検討会議で採択された「カルタヘナ行動計画2010-2014」のこの1年の進捗を報告する「Geneva Progress Report」(案)である。これは、各締約国政府が提出した透明性報告書、及び締約国会議の中間に開催された常設委員会での報告をもとに第12回締約国会議の議長が作成するものである。しかし、透明性報告書の提出を怠っている国が多く、2013年11月末現在で発表されている「Report」(案)は2013年9月12日付けで、数値データに空欄が多い。ICBLが作成した“Landmine Monitor Report 2013”は公式の「Geneva Progress Report」を補完するものである。

“Landmine Monitor Report 2013”、および関係資料は、2013年11月28日10時(GMT)よりwww.the-monitor.org/lm/2013 にてダウンロードが可能です。

本件に関する問い合わせ:地雷廃絶日本キャンペーン事務局
office@jcbl-ngo.org