ランドマインモニターの最新報告書が発表されました

 

民間人の地雷被害が増加、5ヵ国が人道的地雷禁止から危険な一歩を踏み出した

(ジュネーブ、2025年12月1日)

 

– 地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)は本日『ランドマイン(地雷)モニター2025』(以下LM2025 )を発表しました。

最新の報告書は厳しい現実を明らかにしています。多くの民間人がその結果を背負っており、地雷除去が必要な地域では、重要な活動であるにも関わらず、世界的なドナーの支援が減少しています。

長年に続いてきた、国際的な地雷禁止に対抗する前例のない挑戦も浮上しています。

しかし、報告書は条約の継続的な成長を記録し、この枠組みが地雷による苦しみを終わらせるための世界で最も効果的な手段であり続けていることを強調しています。

 

犠牲者は2020年以来最多に ~犠牲者の90%が民間人、その半数は子ども~

LM2025は、2024年に地雷や戦争の爆発物による死亡または負傷者が6,279人と、2020年以来の年間最多記録を報告しています。増加の主な原因は紛争国、特に条約未加盟国のミャンマーでの地雷使用によるものです。

またシリアではアサド政権崩壊後、民間人が地雷に汚染された土地に帰還する際、またはその地を経由して帰還する際に被害に遭う人々が増加しています。2024年の世界の犠牲者の90%は民間人で、そのほぼ半数が子どもでした。ミャンマーは2年連続で世界で最も多くの犠牲者を記録しました。

 

着実な歩みと新たな課題

LM2025の編集者の一人であるマーク・ヒズニーは、新たな課題に立ち向かうために、締約国と市民社会が団結する必要があると述べています。「東欧の5カ国が数か月のうちに条約義務を放棄しましたが、過去の経験からもわかるように、汚染された土地の除去や新たな被害者への支援には数十年と莫大な資源が必要であり、紛争が終結した後も地雷使用の影響を長く受けることは間違いありません。

一方、2024年には、締約国の半数以上が既存の地雷汚染地域の減少に成功しました。1999年3月1日の条約発効以来、合計31の締約国が自国領土内の対人地雷の除去を完了しており、オマーンは2025年に完了を宣言しています。

2014年6月にモザンビークの首都マプトで開催された第3回地雷禁止条約の運用検討会議で掲げた「2025年までに地雷のない世界を実現する」という目標は未だ達成されてはいませんが、条約自体は地雷廃絶に向けた道を着実に歩んでいます。

マーシャル諸島とトンガの加盟により、締約国数は166となり、世界の85%の国がこの条約の目的を共有しています。

 

懸念される資金不足 ~米国の援助停止の影響~

LM2025報告書は、除去された総面積が前年と比べて減少していることを確認しました。原因は米国などの大口ドナーからの資金の減少と地雷汚染地域の治安の悪化が原因であると指摘しています。

わずかな地雷汚染国でさえ、財政支援不足により除去義務の完了に苦労しています。報告書はまた、被害者支援への寄付金が全地雷対策資金のわずか5%に過ぎず、2024年に比べおよそ4分の1減少したことも強調しています。

多くの生存者は、各国や国際社会が被害者のために持続可能なサービスを構築しようと努力を続けているにもかかわらず、いまだに必要な医療ケア、リハビリ、心理社会的支援へのアクセスからほど遠い所に置かれています。被害者支援への資金減少は憂慮すべきものであり、緊急に改善されなければなりません。

これらの課題はさらに悪化しています。2025年初頭、地雷対策への最大のドナーである米国が、同年第1四半期に対外援助の凍結を決定しました。これに伴い、いくつかの人道的地雷対策プログラムが終了し、他のプログラムの将来をめぐる不確実性が続き、多くの国々で財政危機が深刻化しました。

 

対人地雷の新たな使用・生産疑惑

報告書は対人地雷の新たな利用と生産の可能性を引き続き記録しています。未加盟国であるロシアやミャンマー以外の国々は対人地雷の広範な使用に責任を負い続けていますが、加盟国であるウクライナによる新たな使用やカンボジア軍による使用疑惑の兆候もあります。インド、ミャンマー、ロシア、韓国以外の国々は、生産能力を維持していると思われます。さらに、アメリカは2024年に対人地雷をウクライナに移管し、32年間の輸出モラトリアムを破り、無差別兵器を忌避する世界的な規範を弱めました。

 

新たに加盟した国、離脱した国

2025年に2つの新たな締約国が追加され、地雷禁止条約の人道的目的へのコミットメントを示す国が増えているにもかかわらず、エストニア、フィンランド、ラトビア、リトアニア、ポーランドが条約第20条に基づき離脱を進めているため、地雷禁止条約の規範は直接的な脅威にさらされています。また、ウクライナは国際的な武力紛争中に地雷禁止条約の「運用停止」を試みましたが、これは条約で認められていません。

このような新たな事態や継続的な使用・生産は、1999年以来数え切れないほどの命を救ってきた世界的な規範に危険な侵食をもたらしています。

 

「地雷禁止条約は依然として市民の命を守る強力な手段であり、その義務と原則は積極的に守られなければならない」と、地雷禁止国際キャンペーンのディレクター、タマール・ガベルニックは述べています。

「各国政府は条約を守り、さらなる離脱を防ぎ、その規定を世界的に強化し、これ以上各国が対人地雷を使用し、生産し、取得しないように声を上げなければなりません。引き返すことは選択肢にありません。人類はあまりにも多くの地雷を使用してきました。その人道的代償はあまりにも大きいのです。」彼女は付け加えました。

 

地雷禁止条約は1999年3月1日に発効しました。対人地雷の使用、備蓄、製造、移転を禁止し、締約国に対し被害者支援、地雷除去、備蓄の破壊を義務付けています。2025年12月1日時点で、マーシャル諸島の批准(2025年3月)とトンガの加盟(2025年6月)に続き、166か国が条約に拘束されています。まだ31ヵ国が加盟していません。

 

今年のランドマインモニター報告書は、2025年12月1日にジュネーブで開幕する地雷禁止条約締約国第22回締約国会議の初日に発表されました。

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