支援事業の概要

(1)事業名 :ビルマ/ミャンマーの地雷犠牲者及び国内避難民支援

(2)活動地 :ビルマ/ミャンマー カヤー州、シャン州

(3)支援対象:ビルマ/ミャンマーにおける戦争犠牲者、地雷犠牲者、及び同地域の国内避難民

(4)活動地の現況

ビルマ/ミャンマーの治安状況は2021年2月のクーデター以降悪化の一途を辿り、避難民は増得続けています。国連難民高等弁務官(UNHCR)の報告では、2023年4月現在、推定5万2千人以上が難民となって国外に逃れ、国内避難民は全国で推定180万人にのぼるとしています。
国連児童基金(ユニセフ)が9日に公表した報告書によると、2023年1月~3月のミャンマーの地雷・爆発性戦争残存物(ERW)による民間人死傷者数は302人に上り、1~2月の166人から急増しています。前年同期比では3倍となり、国軍と民主派武装勢力との衝突による民間人の犠牲者は増加の一途を辿っています

特にカヤー州、カイン州などの南東部では、無差別砲撃、武力衝突、地雷が民間人に影響を与え続けているほか、検問、夜間外出禁止令、障害物、恣意的逮捕も、人々の移動の自由を大幅に狭めています。避難民の家族は、適切な避難所の不足により、特に脆弱であり、多くのリスクにさらされています。食料と必須医薬品の不足は、カヤー州とカイン州、バゴー(東部)地域で懸念されており、人道支援においても、アクセスの制約は人道的介入を深刻に妨げています。

(5)活動に至る経緯

ビルマ/ミャンマーにおいて2021年2月に発生した軍部によるクーデターにより、軍政とそれに抵抗する  市民/民族グループとの抗争が激化の一途を辿っています。そのため国内の治安が急速に悪化し、NGOによる活動もそれまでと同じレベルでは実施が困難となりました。

JCBLは2017年より、タイ国境に近い南東部カヤー州で地雷犠牲者に対する義足支援を実施。これまでにおよそ200名の地雷犠牲者に義足を提供してきました。しかし、政府軍と民族武装グループとの衝突が激しくなり、地元のパートナー団体であるKNHWO(カレンニー・ヘルスワーカーズ・オーガニゼーション)の工房が閉鎖を余儀され、工房のワーカー達との連絡も途絶えています。地元メディアの報道でも、政府軍が使用する地雷による犠牲者が増えていること、特に国境地帯での戦闘が激しくなっていることもあり彼らの安否が懸念されています。

タイ国境(メーソット、メーホーソンなど)に逃れた避難民の正確な数は把握できmせんが、数百名から数千名規模のいくつかのキャンプサイトに分かれて滞在しており、それぞれ国連や現地NGOらによる支援(食料、日用品、タープ、衣料など)を得て急場をしのいでいますが、国際機関のアクセスが制限されている地域もあり、支援の手は行き届いていません。また、地雷などによる大怪我を負った人々をケアする施設は乏しく、現在はタイの王立病院で手当てを受けるしか選択肢がなく、費用や身分証明(ID)の問題から手当てを受けたくとも受けられない人が多数います。

そんな中、クーデター以降の戦闘で傷ついた人々を支援する目的で立ち上がった現地NGOがあります。若いボランティアで構成されるDove KK(*1)は、国軍の攻勢の激しい、タイ国境周辺の安全地域に3つの仮設病院を設置。地域の医師や看護師の協力を得て、戦闘で傷ついた市民の手当てをしています。また、国軍の使用する地雷による犠牲者に対しても、初期処置から回復までの期間のケアをしています。国軍と民主化を求める民族グループとの抗争に終結の目途が立たない中、このような地元有志の活動を支え、人々が安心して生きていける環境の回復に努めることが求められています。

*1:Doveはビルマ語で平和の象徴である鳩の意。KKはカヤー州と南シャン州を指す。

(6)活動内容:ミャンマー/タイ国境で避難生活を送る戦争・地雷犠牲者への支援

1.仮設病院(3か所)での医療サービス(カヤー州1カ所,シャン州2カ所)

医療施設へのアクセスが困難な僻地に避難している市民を対象に、現地の医師(1名)、看護師(3名)を配置し負傷者、疾病患者の手当て、療養を行う。

2.国内避難民に対する生活物資支援

タイとの国境周辺に避難している住民らに飲料水、食糧、生活必需品などを配布する。対象範囲は60カ所に及ぶが、国軍の乾期攻勢によって行動範囲が限られているため、安全に活動できる場所に限定して行う。配給物資は米、油、竹、タープなど。

3.地雷犠牲者に対する術後療養支援 

第1次支援では、現在DKKの療養施設にいる10名の地雷犠牲者の当座の生活を支える。次年度以降は、切断手術、義足などの装着が可能な病院への搬送資金も視野に入れた支援を行う予定。

(7)活動の目標:避難状況下で困窮する戦争・地雷犠牲者に対して医療サービスを提供し、安心に暮らせる環境の回復を目指す。

(8)実施協力団体:Dove KK

Doveは平和の象徴の鳩の意あり、KKはシャンとカヤーのシンボルであるカンナリカンナラの頭文字。南シャン州とカヤー州において医療活動を続けるほか、国内避難民キャンプの食料配給や子どもの教育支援も行っています。現在、9,000人の子供たちに食料を供給。また、義足を必要とする地雷犠牲者への支援も実施しています。

ミャンマー地雷被害者支援(2021年度までの事業)

ミャンマーの地雷被害者へ義足支援を行っています

ミャンマー連邦共和国には、現在、約 40,000 人を超える地雷被害者がいると推定されています。

ミャンマーではかつて軍政と民族グループとの争いの中、多くの地雷が使われました。カヤー州では身体障害を持つ10人に1人が、地雷が原因で障害を負っており、停戦合意がなされた現在も残留した地雷の被害に遭う人が後をたちません。険しい山々に囲まれた村の中で、政府の監視も厳しく外国人が自由に入れない中、これまで現地 NGO が地道に支援活動を積み上げてきました。しかし近年、こうした NGO への外国からの援助が減少し、支援を届けることが難しくなっています。

こうした現状を受け、JCBLは2017年度より、カヤー州でKNHWO(カレンニー・ナショナル・ヘルス・ワーカーズ・オーガニゼション)と協力し、年間約50名への義足支援を実施しています。

これまで(2020年6月現在)に、約200名の方々に義足を提供することができました。この活動は地雷なきミャンマーを実現する一つのアクションとして、また地雷犠牲者の社会復帰への第一歩としての取り組みになります。

被害者の方が日常生活を取り戻すための一歩となる支援に、ぜひご協力をお願いいたします。

50人の義足製作に 240 万円が必要です

義足を作るのに1人あたり42,000円
(内訳)
遠隔地への旅費・材料費・技師人件費3.8万円
支援にかかる現地管理費0.4万円
※そのほかにJCBL管理費として30万円/年

ご寄付にご協力をお願いします。

◆郵便振替◆
口座番号:00110-2-405727
加入者名:地雷廃絶日本キャンペーン
※通信欄にご住所・お名前と『ミャンマー支援』とお書きください。

◆銀行振込◆

三菱UFJ銀行(銀行コード00051)
支店名:上野支店(店番337)
口座/番号:普通0039883
名義:特定非営利活動法人 地雷廃絶日本キャンペーン
カナ:トクヒ)ジライハイゼツニホンキヤンペーン
※お手数ですが、お振込みの際は、事務局宛にメールでお名前、
 住所、電話番号、振り込み日時をお知らせください。
 事務局アドレス:office@jcbl-ngo.org

◆調査報告◆
ミャンマー事業についての詳しいご報告は下記ページをご覧ください。

◆2020年11月 ミャンマーにおける新型コロナウィルス対策の現状と義足支援
◆2019年11月 ミャンマー義足支援者へのインタビュー 
◆2019年11月 ミャンマー義足支援進捗報告 
◆2019年4月 ミャンマー義足支援進捗報告 

◆2018年10月 ミャンマー・カヤー州視察報告書 
◆2018年5月 2017年度義足支援終了報告 
◆2018年3月 『ミャンマー情勢と地雷被害者支援』開催しました

◆2018年1月 ミャンマー出張報告5:地雷被害者から支援者へ
◆2018年1月 ミャンマー出張報告4:援助から見るミャンマーの現在
◆2018年1月 ミャンマー出張報告3:地雷の被害は人だけでなく無差別
◆2018年1月 ミャンマー出張報告2:地雷被害者へのインタビュー(KSWDC)
◆2018年1月 ミャンマー出張報告1:地雷被害者へのインタビュー(KNHWO)
◆2017年12月 クラウドファンディングをスタートします!
◆2017年11月 現地での活動が始まりました、義足を受け取った方からの声
◆2017年3月 ミャンマー出張報告:地雷被害の状況、被害者支援の支援先を検討

新しい報告が入り次第、随時更新予定です。

最終更新日:2020年11月16日

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