「朝鮮半島の地雷問題」スタディ・ツアー報告

渡辺美緒貴 JCBL理事

 2019 年 7 月 13 ~ 14 日の 2 日間、KCBL(韓国地雷対策会議)代表で、韓国政府の被害者支援委員会会長も務めておられる趙戴国先生にご案内いただき、DMZ(非武装地帯)の現状視察を含むスタディ・ツアーを実施した。

 1 日目は、まず、趙先生より、韓国における地雷の埋設及び被害状況についての講義を受けた。韓国には1953 年の朝鮮戦争の休戦時にアメリカ軍によって埋設されたものから、1988 年のソウル・オリンピックまでに埋められ続けた地雷が全土に 240 万個あるといわれる。埋設した地雷の記録が残されていないため、まずは元兵士からの聞き取り調査が必要だとのことであった。

 また、オタワ条約の締約国会議の際に、韓国政府は「韓国には地雷の被害はない」と報告をしていたほど地雷問題は無視されてきたといい、韓国内では朝鮮戦争がまだ休戦中で終わっていないため地雷は必要だ、という共通認識があるという。

 実際には、これまでに 1,000 名を超える民間の被害者がおり、KCBL などの働きかけによってようやく 2014年に地雷被害者支援法が成立、施行された。趙先生は具体的な被害者の苦悩に向き合いつつ、世界中の NGOの力を借りて地雷除去を進めていきたいと語られた。

 次に、いわるゆ「脱北者」の方 3 名から話を聞いた。今回お話をうかがったのは、20 〜 30 代のエリート層の人たち。北朝鮮でも特に生活に困っていたわけではなく、家族を残してきた人もいるが、韓国内の差別もあり呼び寄せたいとも思わない、また、いずれ帰る可能性もある等と語り、「韓国は競争社会だが、北は共同社会」、との言葉には、はっとさせられた。

 北朝鮮では、DMZ の地雷除去などについて一般市民は知らされていないが、軍縮研究所ではオタワ条約のことなども研究されており国連でも報告しているので、政府が決めさえすれば、除去はすぐに進むだろうとのことであった。

 引き続き、実際に DMZ 等で 5 年間地雷除去を担当していたハン・ギョル氏にお話をうかがった。作業中に地雷が爆発しその爆音で大騒ぎになったが、幸い兵士は軽傷で済んだ話や、除去が完了した場所に大雨が降ったせいで再び地雷が流れ出てきてしまうケースもあったとのお話をうかがった。

 ハン氏は DMZ の地雷除去について、「100% 除去する」という目標は、現実的ででないと話す。最長で 40 年も埋まっている地雷は、その上に積もった落葉が 30 センチにもなり、木が生えて根っこに埋まっていることもある。そうした山の木を全部伐採して全ての地雷を除去するのは環境破壊との批判もある、との言葉には説得力があった。

 実際に地雷が埋設されている国であるからこそ、「必要な地雷はある」という立場の元軍人と、立場の違いを超えて同じテーブルで意見を交わす趙先生の姿に、感銘をうけた。

 2 日目は、ソウルから車で約 2 時間半、朝鮮戦争時に激戦地となり、多くの米兵の遺体が眠るという丘を望む展望台で、陸軍第五師団の兵士より説明を受けた。春になると北側は火を放ち山火事になる。立ち入り禁止の DMZ 内で火が燃えるのを見ていると、埋められている地雷がボン、ボン、と爆発するのが見えるという。兵舎での昼食後はソウルに戻り、青瓦台にて大統領秘書官(統一問題担当)のキム・チャンス氏との会談に臨んだ。

 キム氏はオタワ条約成立の場におられ、KCBL の創立メンバーのお一人で、先月まで開城(ケソン)にある「南北連絡事務所」に勤務されていた方。建物の2階が南、4階が北の事務所で、間の3階が会議室になっており、毎日のように北朝鮮の人とも言葉を交わしたという。南北の関係は複雑で、一足飛びに「平和条約締結」とはならないが、「一喜一憂せず、辛抱強く一つひとつ合意を作っていく」という言葉に、重みを感じた。

 JCBL では今回の韓国に続いて、義足支援を続けているミャンマーはじめ、長年にわたり関係を築いてきたアジア各国へのスタディ・ツアーも今後、企画していきたいと考えている。どうぞ、ご期待いただきたい。

DMZの地雷原を平和地帯に変えるという難題

KCBL趙代表のヘラルド韓国の取材記事より

 韓国と北朝鮮の融和政策は短期間で頓挫し、北朝鮮は再び韓国を払いのける側へと戻ったようだ。しかし、それも文在寅(ムン・ジェイン)政権が策定する朝鮮半島における永続的な平和をもたらすための計画を白紙に戻すには至らなかった。先月の国連総会で、南北を分離する非武装地帯を「国際平和地帯」に変えることを文大統領は提案した。しかし、文大統領が、野生生物の「生物学的な宝庫」と呼んだ非武装地帯(DMZ)には、依然として100万個以上の対人地雷が埋まっていると考えられ、軍事的緊張を生み出す地域でもある。文大統領はそのことを事実と認め、地雷除去の必要性とそのための国際支援を求めた。9月24日の文大統領の第74回国連総会での発言は、「DMZには約38万個の対人地雷が埋められており、それを韓国軍だけで除去するには15年かかると予想される」というものであった。

DMZ(非武装地帯)という地雷原

 長さ250km幅4 kmのDMZが、南北コリアの共栄の場所となり、平和維持・軍縮活動を行う国際センターと変わるには、この地帯の地雷をすべて除去することが最初のステップとなる。

 文大統領は38万個の対人地雷と明示したが、南北の軍事境界線に埋められた様々な地雷すべての正確な数は、確認されていないのが現状だ。地雷の専門家は、韓国と米国の軍隊によって埋められた約100万から120万の地雷が、DMZの南側にあると考えている。北朝鮮によって埋められた地雷の数を加えると、地雷の総数は200万に達する可能性がある。

 DMZの対人地雷と対戦車地雷は、すべてが朝鮮戦争の遺物というわけではない。国際的な地雷反対運動を展開するKCBL(地雷禁止国際キャンペーン韓国)によれば、キューバ危機で世界的な緊張が高まった1962年頃からDMZに数万の地雷が埋められ
たのだという。当時、北朝鮮と韓国の両国と米軍が、
休戦条約に違反して、M4、M14、M16といった対人地雷を何万個も埋めたのだ。

 戦争の物語には頻繁に登場する地雷だが、その使用は大きなタブーである。対人地雷の使用を禁じ、廃棄することに合意するオタワ条約に加盟していない約30カ国のリストには、南北コリアが共に載っている。条約に加盟した164カ国は地雷の生産と開発を禁止され、対人地雷の備蓄を4年以内に破壊する必要があり、条約の批准後10年以内に、埋設されたすべての地雷を除去しなければならない。これは、南北コリアが手をつけたことのない難しい問題である。

 しかし、韓国は地雷を除去する意向を表している。北朝鮮との関係が和らいだ2000年、金大中大統領と北朝鮮の金正日総書記との最初の南北首脳会談の後、ソウル市は特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)に加盟した。「非人道的な武器」の使用を減らすことを目的とするこの条約は、一般的な地雷探知装置では探知できない対人地雷の使用を禁止している。これは、地雷に8グラム以上の鉄を使うことであり、韓国地雷除去研究所所長のキム・キホ氏がコリア・ヘラルドによれば、これで地雷は探知可能になる。「しかし、韓国はかつてDMZに埋めたM14対人地雷で、既にCCWに違反している。CCWに加盟したとき、国はM14を除去するための9年間の猶予期間を与えられたが、その間何もしなかった」とキム氏は語った。

DMZ の地雷除去

 専門家は、DMZ内のすべての地雷を除去することは不可能とは言えないにしても何年もかかる、と考えている。軍関係者は「文大統領の提案は単なるアイデアであり、詳細な計画が策定されるまでには長い時間がかかるだろう」と述べ、地雷除去計画はまだ開始されていないと付け加えた。KCBLの趙代表は、「大統領は韓国軍が38万個の対人地雷を撤去するのに約15年かかると言ったが、2018年にわずか240個の地雷を取り除くために要した期間を考えると、相当に長い時間がかかる可能性がある」、「防衛省は、韓国内のすべての地雷を除去するのに約489年かかると語った」と話した。韓国政府が地雷除去を開始するには、DMZ内のすべての活動を監督する米国主導の国連司令部(UNC)からの承認を得なければならない。UNCは1950年に朝鮮戦争が勃発した際、韓国を北朝鮮から守るために設立され、1953年に休戦協定が執行されて以来DMZを管轄している。

 国際機関や市民団体の専門家が対人地雷の除去に参加するには、現在の軍事法を改正するか、新しい軍事法を策定する必要がある。韓国では軍事基地および設置施設法の保護の規定により、すべての軍事作戦は軍によってのみ行われ、民間の専門家は地雷除去活動に参加できない。法律を変え、民間の専門家が地雷除去に参加できるようにすれば、徴兵兵士だけに任せるよりもはるかに迅速で費用効果も上がるだろうと地雷専門家のキム・キホ氏は語った。軍当局者は、遠い昔に埋められた地雷が適切に管理されてこなかったことが除去作業を遅らせるだろうと予想している。「DMZは何十年も閉鎖されたままであり、たとえ地図に記されている地雷であっても雨や風や地滑りで移動してしまっているだろう」と軍人の一人は話す。またある専門家は、そこで何十年も人の手にかかることなく繁栄してきた野生の動植物に損傷を与えないように地雷除去が行われることが重要だと指摘する。

 しかし、最大のハードルは、北朝鮮と韓国との不安定な関係である。もし韓国政府が一方的な地雷除去作業を行うならば、計画の半分しか実行できないことになるだろう。なぜならDMZ内の軍事境界線の北にある地雷の除去は不可能になるかもしれないからだ。

 「もはや地雷を維持する理由はなにもなく、取り除く必要があるだけだ」、「軍と国際機関が協力し、DMZから地雷が無くなり、地域が平和地帯に変わる時、平和は実現するだろう」と趙代表は語った。
(翻訳 上沼美由紀 JCBL理事)

本文(英語)は、2019年10月28日掲載
http://www.koreaherald.com/view.published=20191028000683

「朝鮮半島の地雷問題」スタディ・ツアーを終えて

水谷 悠真 早稲田大学大学院 政治学研究科修士課程 1 年

 7月14日から15日の2日間、KCBL(韓国地雷対策会議)とのコラボ企画である「朝鮮半島の地雷問題」スタディ・ツアーに学生招待枠として参加しました。昨年4月に、韓国と北朝鮮による南北首脳会談が板門店で行われて以降、朝鮮半島情勢に関心が集まる中で、政治や文化だけでなく様々な視点から見つめていく必要があります。そうした中、今回のツアーは地雷問題を学ぶ機会だけでなく、脱北者の方々(北朝鮮から「脱出」し、他の土地に移り住む人々)との懇談会など様々な機会が設けられ、普段日本の報道を通してあまり伝えられない事柄を直接現場に行って学べる貴重な機会になりました。その中で私が最も印象に残った2つに絞りながら、感想を述べたいと思います。

■「地雷の犠牲は本人だけではない、その家族も傷つける」

 朝鮮戦争休戦から今年で66年が経ちました。半世紀以上経過してもなお、休戦状態が続き、当時の朝鮮半島全体の人口の10%を超える死者を出した戦争の残した「痛み」は、地雷問題など様々な形で現在まで残っています。2016年5月には、DMZ付近にて山菜を採っていた民間人が地雷の被害にあったように、未だ約2年に1件の頻度で地雷被害は続いています。KCBLによると、1953年から2014年までに、軍人・民間人を含め、これまで5,000名以上が犠牲になっています。KCBLでは、長期にわたり地雷被害者への聞き取り調査を行ってきました。そうした調査から趙先生は「地雷の犠牲は本人だけではなく、家族も傷つける」といいます。

 ある被害者は、妻と子どもと幸せに生活していました。しかしながら、地雷被害を受けた後、仕事も上手くいかず、精神的にも病んでしまった上、その奥さんまでも介護ストレスなどによる精神的な問題を抱えてしまい、別々に暮らすことになったといいます。これまで私は、被害当事者の精神・身体的な被害に目を向けがちでした。しかしお話を伺う中で、地雷が被害当事者の精神・身体的被害だけでなく、被害当事者の家族や周りの人びとにも被害を与えるものだと学びました。

■「韓国社会に馴染むことの大変さ–脱北民との懇談会–」

 政治・経済的など様々な理由から北朝鮮を離れ、現在、韓国で生活している脱北者は3万人と言われています。今回は20代、30代の若い脱北者の方々3名から、脱北の経緯、脱北後の韓国生活など、直接お話を伺うことが出来ました。

 私が最も印象深かったお話は、脱北した後の韓国での生活です。大学院生の女性は、「受験や就職を含め、韓国では常に様々な競争が強いられる。そうした社会に溶け込むことに非常に苦労した」と語りました。一般的に、社会環境の違いなどから脱北者の韓国社会への定着は難しく、韓国社会において自分たちは理解されていないと感じている人が多いと言われています。また反対に、脱北者のことについて韓国人の友人に話を聞くと、あまり良い印象がない、よく分からないと答える人も多くいます。韓国政府やNGOは、進学、就職、など様々な形で生活支援を行っているものの、依然として、精神的な側面で、「生きづらさ」を感じている脱北者がいる事を知りました。

 日本と朝鮮半島の関係は、政治的には依然として厳しい状況が続いていますが、歴史的にも深い関係があり隣人であります。今回のツアーを通じて、政治や歴史の問題だけでなく、様々な視点から朝鮮半島をみる必要があると思いました。そして、改めて現場に行き直接自分の目で見ること、話を聞くことがどれだけ大切なことか理解しました。「世界の人々が兵器の恐怖に怯えることなく、安心して暮らす社会を作りたい」というJCBLの信念に強く賛同し、今後も朝鮮半島の地雷問題に関心を持ち続けていきたいと思います。

地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)アジアプラットフォーム会議参加報告

清水俊弘 JCBL代表理事

 8月19日から21日までの3日間、台湾にてICBL第2回アジアプラットフォーム会議が開催されました。昨年5月に第1回目のアジアプラットフォーム会議が台湾で開催されて以来の会議となります。この会議は、対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)、クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)の加盟国が少ないアジア地域において、普遍化や地雷対策を促進させることを目的に企画された地域会合です。 

 オタワ条約が1999年に発効してから今年で20年が経ちます。現在の加盟国は164ヵ国。世界のおよそ8割が参加している中、未だ加盟をしていない32ヵ国の半数がアジア諸国という現状があります。逆にEU諸国、中南米、アフリカはほぼ全ての国が加盟する“マインフリーゾーン”となっています。

■条約の成否のカギを握るアジア

 アジア地域は、多様性の地域でもあります。他の地域と比べ、共通言語がなく、文化、風習も異なる小さな単位の集合体です。その中で軍事的に肥大化する中国の影響(国境を接する国は14ヵ国に及びます)、不安定な朝鮮半島やインド・パキスタン情勢、長い内戦が続くネパール、アフガニスタン、ミャンマーなど問題も多様かつ深刻です。

 ランドマインモニターの最新版で報告されている「未だ地雷の問題が深刻な地域」の中にはカンボジア、ミャンマー、アフガニスタンなど多くのアジア諸国の名があげられています。また、残る11の地雷生産国のうち8ヵ国がアジアにあります。

 被害者に対する支援の遅れも目立ちます。条約加盟国においては、被害者支援が国の福祉政策として策定されることを推奨していますが、義肢の提供やリハビリなどができる施設は中心市街地に偏っており、僻地に住む人々にはその機会が及びません。いきおい就職や就学など社会参加の機会も限られています。

 2014年にモザンビークの首都、マプトで開催されたオタワ条約第4回再検討会議において、条約で謳う全ての施策を2025年までに成し遂げようという画期的な期限目標が設定されました。あと6年で地雷の使用、生産、移転、備蓄の禁止を達成し、そして、新たな被害者をゼロにするためのカギはアジアにあります。

■アジアプラットフォーム会議

 2018年5月、台湾のキャンペーンメンバーであるエデン社会福祉基金(Eden Social Welfare Foundation)がホスト役となり、アジア地域のキャンペーンメンバーを集めての第1回地域会合が開催されました。その際に、今後もアジア各地のキャンペナーの協力が継続的に必要だという合意のもとで産声を上げたのが“アジアプラットフォーム”です。

 2回目となる今回は、日本からの私を含め、韓国、ベトナム、フィリピン、スリランカ、ネパール、ミャンマーなどアジア地域10カ国のメンバーが参加しました。言語も文化も多様で異なるアジア地域において、地域として意識と結束を高める上で、互いの顔を突き合わせて情報や意見交換し、それぞれの地域の課題や連携の可能性を検討することはとても意義あることだと感じました。 

 例えば、韓国のDMZ(軍事緩衝地帯)の地雷除去を進めていく上で、ベトナムやカンボジアの先進事例を学ぶことや、新たに必要となっている簡易爆弾(IED)の危険回避教育ツールを互いに学びあうこと、ミャンマーのような未加盟国で被害者支援のテコ入れをしながら条約加盟に向けての連携をとることなど、こうして密に時間を共有することで生まれて来ることも多くあります。

 一方で、インドやパキスタン、アフガニスタンなどの深刻な問題を抱える国からの参加はなく、「アジア」という枠でとらえたときに、グループとして力を発揮するための具体的なターゲティングや戦略作りまで踏み込めなかったことは今後の課題として残っています。
以下は今回の会議で確認したアジアにおける連携の基本姿勢並びに分野です。

◇結束のための原則
 ◆人間の命と尊厳を守ること
 ◆人間を中心においた考え方、アプローチ
 ◆それぞれの専門性、経験、活動資源を効果的に活用し合う
 ◆平和構築、権利ベースアプロ―チの尊重

◇連携分野
 ◆非人道兵器に対するアドボカシー(無差別性、犠牲者自身による起爆などの機能 ,etc.)
 ◆犠牲者支援プログラム
 ◆地雷対策全般
 ◆コミュニティレベルのニーズへの対応
 ◆人道的軍縮に関する関心喚起

 アジアプラットフォームをどこまで発展させることができるか、JCBL も含めて各国のメンバーにどこまでコミットする余力があるか、現実的なキャパシティの中で考えていく必要がありますが、少なくともアジアの市民社会がしっかりと連携していかなければ、2025年という期限目標を達成することは困難であることは確かです。私たち一人ひとりがそうした自覚を持って取り組む姿勢が求められています。

★オタワ条約第4回再検討会議、オスロにて開催

 2019年11月25日から29日までは、ノルウェーのオスロで、対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)の第4回再検討会議です。モザンビークのマプトで開かれた前回の会議から5年、この間の成果、残された課題とそのための取り組みが話し合われる機会です。私たちキャンペーンは、“フィニッシュ・ザ・ジョブ”(この仕事を終えよう)を合言葉に、以下のことを期待して、2025年までの地雷なき世界の実現に向けてキャンペーンを続けてきました。

◦新たな地雷の使用に対し強く非難すること、および今後いっさい地雷が使用されることがないように努力する約束をすること
◦未批准国が条約加入を宣言すること
◦地雷条約の規定を守り、実施している内容を正確に報告すること 

 2025年の目標に向けた計画とそのための資源を確実に用意すると約束するこの会議では、「オスロ行動計画」がまとめられます。いよいよ2025年までのカウントダウンです。行動計画の詳細は、次号にて報告します。

JCBL事務局だより

 今年度は、神奈川県の各地でリサイクルショップを展開し、その収益を国際協力に還元する取り組みを続けているWE21ジャパンのみなさんに様々な形で応援していただいています。WE21ジャパンは、神奈川県内に50店舗を超えるショップを持ち、地域ごとに独立した形で活動をしています。その中の一つWE21ジャパン港南で、10月に地雷廃絶理解のためのパネル展が開催されました。パネル展は今後も場所をかえて続きます。特に今年はオタワ条約が発効してから20年の節目になるので、この機会に多くの人々にこの条約の意義と継続的な取り組みの重要性をご理解いただければと思っています。

◆ 追 悼

 JCBL設立時から世話人を務めてくださっていたアーユス仏教国際ネットワーク理事長の茂田眞澄さんが、去る8月4日に逝去されました。昨年の夏に体調を崩されたとは伺っていましたが、いつもエネルギッシュで笑顔の茂田さんは必ず回復して戻ってこられると思っていたので、悲しいお知らせはショックでした。茂田さんは、困ったときにいつも助けてくださる方でした。JCBLはこれまでに何度もアーユスに駆け込んでいます。茂田さんには、「助けてください」とばかり言っていました。その度に「それは大事だね。事務局に話しといて」と言われ、ほっとしたことを覚えています。それはお金の支援をくださるからだけではなく、「茂田さんがわかってくださった」という気持ちになれたからでした。多くのNGOの人たちが同じ経験をされているのではないでしょうか。
 茂田さんの生き様を見せていただけたことに感謝しています。茂田さんのようには到底できませんが、茂田さんがなされてきたことを忘れないように、そして「大事なこと」を見失
わないようにしようと思います。茂田さん、ありがとうございました。ゆっくりお休みください。(内海旬子)