オタワ条約第19回締約国会議が開催されました

清水俊弘 JCBL代表理事

 オタワ条約の第 19 回締約国会議が 2021 年 11 月 15 日からオランダのハーグにて開催されました。今回の 会議は 2019 年に策定されたオスロ行動計画の中間地点 に位置付けられており、“2025 年までに全てを成し遂げ よう”という期限目標に向けて、各作業の進捗が厳しく評価されました。特に大きな課題となっている作業部門について、議論の経過を報告します。

■ 埋設地雷の除去

 この規定は、オタワ条約の肝であり、将来の犠牲者を無くす上でも最も重要な作業です。規定では、10 年以内に除去することが義務付けられていますが、大量の埋設地雷を抱える国も多く、期限内に終えることが困難な国が続出しています。会議では、事前に期限の延長申請があったキプロス、コンゴ民主共和国など 7 カ 国の除去計画などについて厳しい審議が行われました。  一方、2020 年 12 月末で期限を迎えたエリトリアは現在も延長申請の手続きをしておらず、多くの締約国、 ICRC、ICBL から「条約違反」として厳しく非難されました。

■ 犠牲者支援

 タイが議長を務めるこの部会においては、都市部と地方の支援格差を低減するための施策として、犠牲者の存在を広範にカバーするデータベースを構築することで、地方レベルにおける犠牲者支援の強化も含めた国家計画の策定を促すとともに、オタワ条約と障害者権利条約の共通の目標を達成するための努力をはらうことが強調されました。

■ 条約の普遍化と備蓄地雷の破壊

 未だ条約の枠組みの外に残っている 33 カ国が早期に加盟することは、条約の目標達成のための重要課題の一つです。特に、これらの国々が保有する備蓄地雷の 数は多く、こうした地雷が拡散する前に適切に破壊処分されるためにも、条約への加盟が有効であることは明白です。  条約加盟と備蓄地雷の破壊の必要性を協調的に訴え ることが、地雷なき世界の実現に近づくための鍵であ るという認識が共有されました。

 次回、第 20 回締約国会議は、2022 年 11 月 25 日から ジュネーブで開催されること、そしてコロンビアの立 候補を受け、同国が議長を務めることが承認されました。

『ランドマインモニター報告2021』発表

目加田説子JCBL 副代表理事

 2021 年 11 月 15 日から 19 日までオランダのハーグで開催された対人地雷禁止条約の第 19 回会議に合わせ、 今年も「ランドマインモニター 2021」が発表された。 今回の報告書で最も目を引くのは、2020 年初頭から急速に世界で感染拡大した新型コロナウイルス感染症の影響が地雷対策の現場でも様々な形で影を落としていること、そして地雷を含む爆発性戦争残存物(ERW) による死傷者が増加し続けていることである。 

 パンデミック対策のために地雷除去作業を一定期間停止したり、移動制限がサプライチェーンに影響を与えた他、国境閉鎖によって地雷除去機材や必要物資の輸送が遅延したという報告が目立つ。犠牲者支援活動でも、直接・間接的な接触制限が支援活動を中断させ ることになっている。

 更に深刻なのは、2015 年以降増加傾向にある死傷者 数が 2020 年には更に増えたことだ。前年比 20%以上増加し、年間で犠牲者数が最も少なかった 2013 年の倍以上となっている。犠牲になるのは依然として民間人で あり、全体の 8 割を占める他、その半分は子どもだった。背景には、武力紛争や即席地雷による汚染が増加したことが指摘されている。 

 条約加盟国は 2014 年にマプト(モザンビーク)で開 催された第 3 回検討会議で「2025 年までに地雷除去を終わらせる」という意欲的な目標を立て、昨年にはチリと英国が除去を完了しているものの、条約加盟国 33 カ国を含む少なくとも 60 カ国・地域が地雷で汚染されていることが明らかになっている。

 世界で地雷を使用した「国」はミャンマーのみだが、 最少でも 6 カ国で非国家武装主体(NSAGs)が地雷を使用していることが明らかになっている(アフガニスタン、コロンビア、インド、ミャンマー、ナイジェリア、 パキスタン)。 

 また、2020 年には 10 万 6,500 個の地雷が廃棄され、 1999 年から現在までに 94 カ国が 5,500 個の地雷の廃棄 を終えた他、世界の 33 のドナー(政府、国際機関、財団・ 基金等)が昨年と同水準の計 5 億 6,520 万ドルの資金援助を行った。

ランドマインモニター 2021 年版:

http://www.the-monitor.org/en-gb/reports/2021/landmine-monitor-2021.aspx

ローザンヌ行動計画とクラスター爆弾モニター

目加田説子 JCBL副代表

 クラスター爆弾禁止条約(CCM)は発効から 10 年を経た 2020 年、2 回目の検討会議をスイスのローザンヌで開催する予定だった。しかし、年初より世界で感染拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により検討会議は延期を余儀なくされ、 最終的に 2 部に分割して開催することになった。1部は 2020 年 11 月 25〜27 日にオンライン会議で開催されたが、2021 年 2 月 4-5 日には対面での会議が可能になることを期待し、全文書の採択も延期していた。しかし、2 月の第 2 部も再延期され、 最終的には 9 月 20-21 日に対面とオンラインによるハイブリッド 形式で開催され、「ローザンヌ行動計画」と「ローザンヌ宣言」 を採択して閉幕した。

 「クラスター兵器連合(CMC)」では、検討会議の準備段 階から CCM が直面する喫緊の課題として、1クラスター爆弾の継続使用、2普遍化の停滞、3履行義務の遅延、4 犠牲者支援の実施を挙げていた。ここでは、特に1と2について言及したい。

 CMC は、「いかなる主体によるいかなる使用も非難し、シリアが現在もクラスター爆弾を使用していることへの危機感を 明確に表明すること」を求めていた。シリアにおける被害が 後を絶たないからだ。  条約が成立した翌年の 2009 年から 10 年間、新たに記録された犠牲者の 80%以上がシリアで発生している。シリアのクラスター爆弾の使用については、一時は国際的な批判を招い たにも関わらず、使用は止んでいない。

 関連して、条約の普遍化が滞っている点も問題視した。第 1 回検討会議(2015 年)で採択されたドブロブニク行動計画では、第 2 回検討会議までに締約国を 130 カ国に増やす 目標を掲げていたが、現在の締約国数は 108 カ国に留まっており、この 5 年間で新たに加盟したのは 10 カ国に過ぎない。 条約の普遍化が進まなければ、条約の規範化も滞る。

 今回採択された宣言には、間接的な表現でシリアをはじめイエメンやナガルノ・カラバフ紛争における使用に言及し、「いかなる状況下においてもクラスター爆弾を使用してはならない」 という文言を含めたものの、条約に加盟していない国への対処に限界を露呈した形になった。

 一方、2026 年までの行動指針となる「ローザンヌ行動計画」 には、条約の普遍化や備蓄兵器の破壊、除去、リスク教育、 被害者支援などに関する具体的な 50の施策(行動)が盛り 込まれた。各施策には、進捗状況を監視・実施する際の課題を特定するため、一つまたは複数の指標が示されている。 

 対人地雷禁止条約の検討会議や採択された関連文書を含め、従来とは異なる視点として、今回は初めて環境への配慮 が随所に言及されている点を強調しておきたい。

 例えば条約の実施においては、地雷対策や国際人道法と 合わせて環境保護文書に関連して進められる活動との相乗効果を生かすこと、除去活動で環境への影響を考慮すること、 環境影響評価に関するベスト・プラクティスや環境保護への 配慮を取り入れた経験を共有すること、といった点が盛り込まれている。クラスター爆弾のような爆発性兵器は、有害化学 物質による土壌の劣化や地下水の汚染のみならず、埋設地域へのアクセスが絶たれることによって天然資源への過剰な 依存や野生生物の乱獲に繋がり、兵器の爆発で森林火災が 引き起こされる可能性が高まる。どれも従来から現場で考慮されてきたとはいえ、今回のように具体的な行動に明記されたことは注目に値するだろう。

モニター報告

 ICBL-CMC のモニターチームは、これまで毎年開催され る締約国会議か検討会議に先立って、過去約 1 年の進捗 状況をまとめた「モニター報告書」を発表している。今年で 23 年を迎えた報告書では、パンデミックによって生じた混乱にも関わらずクラスター爆弾対策は着実に進展を見せている一 方、民間被害者の増加に懸念を示している。

 2020 年、世界では少なくとも360 人の被害者が新たに発 生し、これは 2018 年の 277 人、2019 年の 317 人と確実に 増えている。データ収集の難しさから記録されていないケースも多いため、新たな犠牲者の実数はより多いとみられている。 また、依然として大変の犠牲者が民間人であり、年齢が記録されていた全ての犠牲者の内、子どもが 44%と半数近くを占めている。死傷者が最も多かったのはアゼルバイジャンで、 その他にはアフガニスタン、カンボジア、イラク、ラオス、南ス ーダン、シリア、イエメンに加え、ナゴルノ・カラバフでもクラス ター弾の残骸による犠牲者が記録されている。依然として、 26 の国と3 つの地域が子爆弾で汚染されたままだ。 

 一方、36 カ国が申告した備蓄数の 99%を破壊完了し、昨 年だけでもブルガリア、ペルー、スロバキアの 3 カ国が子爆弾の廃棄を完了している。また、クロアチアとモンテネグロの2 カ国が、汚染除去の完了国になった。

クラスター爆弾モニター 2021年版:

http://www.the-monitor.org/media/3299952/Cluster-Munition-Monitor2021_web_Sept2021.pdf

地雷問題を学ぶビデオ教材が出来ました

清水俊弘 JCBL代表理事

 これまでなかなかできなかった動画配信型の啓発教 材が出来ました。この企画は、早稲田大学韓国学研究所主催、同アジ ア研究所共催、そしてコリアファンデーションの協力 で実現したものです。この教材は、上記団体によって作られている「Waseda Public Diplomacy Forum」というシリーズの Vol.14 に位置付けられ、「地雷なき地球を目指す日韓市民社会」 という表題のもと、2 部構成で制作されています。

 第1部は「オタワ条約が東アジアの平和に寄与する 可能性」と題して、地雷問題とは何か、オタワ条約ができた経緯など基本的な話を中心にまとめています。 そして第 2 部は「マインフリーアジア」と題し、オタワ条約が発効してから 20 余年が経った現在の状況や課題について、特に加盟国が少ないアジア地域の問題にフォーカスし、韓国地雷対策委員会(KCBL)との連携 などを解説しています。

 第1部、第2部どちらも豊富な写真と、清水・金さんの対談形式で進められており、とても見やすくなっていま す。高校や大学などの講義でご活用いただければ幸いです。動画は以下のリンクからご覧いただけます。

第1部

第2部

以下は、本教材の製作に尽力してくださった早稲田大学文化構想学部教授の金敬黙さんのコメントです。

 コロナ禍によって、学びのスタイルが大きく変わりつつあります。「反転教育」というものがより重視され、事前に動画や資料を予習し討論や対話中心のスタイルで学びを深めるものです。また、現場や実社会と学びの教室の距離を縮めることも重視されるようになっています。そのような環境変化の中で、アジア、平和、市民社会のキーワード を活用し、なかでも日韓関係のモデル事例を模索し紹介する動画を制作して一般公開することにしました。

 JCBL と KCBL の協力事例は、とても大きな意味合いを持っています。一つには ICBL の成功例が核禁止条約や他 の平和活動につながる重要な事例であることです。また、日韓関係における安全保障問題について市民社会が取り組 む数少ない事例でもあります。  動画を視聴した大学生たちは、「恥ずかしながら知らなかった」「NGO や市民社会について興味を抱いた」「希望が 持てた」などの感想を寄せています。25 年前の過去の歴史ではなく、今もなお続く地雷問題に多くの人が関心を抱 く必要性を改めて感じています。デジタルメディアの公共財的な教材をもっと増やしていきたいと思っています。

地雷の教育効果

木場隆夫 JCBL 賛助会員・岩手県立大学総合政策学部教授

■地雷模型を授業で回覧

 最初に私が地雷模型を手にした時、こんな小さな物が炸 裂して手足を吹き飛ばすとはと憤りの気持ちが湧き上が ったのが半分だった。残り半分は、今にもそれが爆発しそうで怖かったことを覚えている。  今年もまたJCBLにお願いして地雷の模型セットを大学に送って頂いた。ある授業で軍事と大学について説明する回を設けている。毎年、その回の冒頭に地雷模型を学生に 回覧する。2013年度から始めて、今年で9年目になる。今年はクラスター爆弾の子弾のレプリカまで送って頂いた。  地雷は、見たこともない戦地の様子に想像力をかき立てる良いアイテムと考えている。

■戦場グッズがかき立てる想像力

 授業で使う基本的な資料は文字、図表、画像、動画などで あり、二次元である。加えて学生は、日常的にスマホ経由で 余りにも多くの画像情報に接している。それに対して、立体である地雷模型は大きさと重さがある。存在感と迫力がある。  地雷模型を回覧し、紙ベースの資料を配って地雷に関する概説をした。学生には手に持った感想を書いてもらった ので、いくつかを紹介する。

 「地雷は丸くて平たい形で地面に埋めるイメージしかな かったのですが、大小様々で地面に埋めるだけでなく、空 から散布する物もあると初めて知りました。」  「どの地雷も片手で持てるサイズ。小さくても人を十分 に殺傷できる能力があり、恐ろしく非人道的。たくさんの子どもが犠牲になっているので、早急に撤去すべきであ る。」  「クラスター爆弾の模型を触ったが、あの爆弾一つでも 十分殺傷能力がありそうで、202個も飛び散るとはとても恐ろしいものである。」  「対人地雷の説明を読んで、未だにこのようなものに恐 怖を感じて過ごしている人々がいる事に悲しくなりました。そして犠牲者の大半は、何の罪もない民間人です。… 科学技術が人を傷つけることを目的として使われるべきでないと強く感じました。」

 私の説明力の不足もあるが、言葉だけでは平板になる。 地雷模型のインパクトは強力である。平和な日本の教室に おいては、地雷はいかにも異質で不気味な存在である。計算しつくされた軍事的コスパは邪悪とさえ言える。まさに非人道的な物体だと納得させられた。  最近の学生は、バッグにお気に入りの小物を付ける。それらはキャラクターグッズや動物もの、アニメ系など思い おもいだが、全般的にカワイさやユルさで勝負している。 それらのグッズからインスピレーションを得たり、共通の話題の糸口にしたりする若者はグッズ審美眼を発達させ ている。地雷やクラスター爆弾はダーク系となろうか。若者にはグッズの訴求力は効果が高いと考える。

■教育による効果

 地雷廃絶に向けた教育による効果について補足したい。 この授業の受講生は毎年40人程度である。9年間で、延べ 約360人の学生に地雷やクラスター爆弾の模型を手に取らせて、不気味さを味わってもらった。迂遠なようではあるが、教育による啓発効果は無視できないのではないか。核やAIロボット兵器などの脅威にも 学生は関心を強めている。より多くの学校現場で取り入れられることを願っている。もし各都道府県でいくつかの授 業が継続すれば、そのうちに数万人単位の受講者を生み出 せる。なお、この授業は科学技術のあり方を考えることが 趣旨、その一つのテーマが軍事で、手始めに地雷を取り上げている。一般に地雷が授業のメインテーマになることは 少ないかもしれないが、いろいろな切り口で授業に役立つ事例ではないか。  JCBLの皆様に感謝を申し上げ、そして学校教育方面への息長いご支援をお願いする。今後も、ささやかな貢献ができれば幸いである。

オタワ条約成立24周年記念オンライン・セミナー開催報告

『アフガニスタン・タリバン統治下の地雷犠牲者の暮らし』

JCBL理事 渡辺美緒貴

 2021年11月23日に、第4回オンライン・セミナー を開催いたしました。

 米軍が撤退し、首都カブールが陥落した今年 8 月以降、 タリバン統治下に入ったアフガニスタン。20 年前まで のタリバン政権下では女性の権利が制限され、教育を 受けられないという状況だったこともあり多くの人々が国外へ逃れようと空港に殺到しましたが、逃れることができない人々はたくさんいます。 

 情報が少なく、現地がどのような状態なのかなかな か伝わってこない中、アフガニスタンで地雷犠牲者支 援をしている NGO、ALSO(アフガニスタン地雷犠牲 者支援組織)代表のアフマディ氏からのビデオメッセ ージを中心に、自身、20 年前にアフガニスタンにて支 援活動を行っていた清水代表が解説をしました。

 最初に、12 月 3 日に調印式から 24 周年を迎えるオタ ワ条約について、11 月にオランダのハーグで開催され た第 19 回の締約国会議の報告がありました。「2025 年 までに作業を終えよう」と定められた項目のうち、地 雷除去期限や貯蔵地雷の廃棄期限が守れていない国に対し順守が求められたこと、コロナ感染拡大の影響で 安定的な資金調達ができず、犠牲者への支援がより一層厳しくなっていること等が報告されました。

 続いて、アフマディ氏が紹介されました。ICBL のアフ ガニスタンキャンペーン ACBL の代表を務める氏は、 16 歳だった 2005 年、初日の出を見に山に登った際、地 雷により両脚を失いました。両親を悲しませたことが 長男としてつらかったと話してくださいました。  ALSO は 2007 年にアフガニスタン経財省に登録されたNGO で、障害者グループによって設立された、障害 者支援のための団体です。  アフマディ氏は「タリバンの統治になり、政府や NGO、民間団体に勤めていた地雷犠牲者や障害者の多 くは職を失った。食糧などの生活必需品の高騰により、 経済的に厳しい状況。生活していくうえで必要なサー ビスも受けられなくなっている。」と言います。 

 清水代表は、冬の到来を迎え、アフガニスタンの人 口の約半数にあたる 2,300 万人が深刻な食糧不足に直面 し、5 歳未満の子どもおよそ 100 万人が栄養不良で死亡 する可能性があるという WFP の警告を紹介しながら、

誰にとっても厳しい状況であると、解説しました。

 ALSO は 2007 年以降、ERW( 簡易爆弾 ) の犠牲者を含む 3,484 人の障害者同士がケアをするピアサポート、 障害を持った子どもの識字や算数の学習支援の他、公立学校、大学への進学支援を実施していること、和平 プロセスの協議の場に、障害者特に女性の代表を含めるよう、タリバンに対しても交渉していることが紹介 されました。 

 「8 月 15 日以降、タリバン統治下になり、すべての犠牲者支援の活動が止まっている。また、国際支援団体は、 活動することは可能だが、銀行から現金を引き出すことができず、困難な状況にある。タリバンは、オタワ 条約締約国として加盟し続けるのかどうか、何の情報もない」とアフマディ氏は続けました。そして、最後に、 「日本の皆さん、アフガニスタンの地雷犠牲者を忘れないでください」と訴えました。 

 各国は、資金がタリバンに流れないよう在外資産を凍結しているが、アフガニスタンはもともと国家予算 の半分を国際社会からの援助に頼ってきたこともあり、 失業者が増加する中、障害者が特に厳しい状況にあることがわかります。  アフガニスタンはオタワ条約、オスロ条約、障害者 権利条約の締約国ですが、タリバン統治下でも守られ るかどうか不明です。オタワ条約に関しては、2002 年 に批准して以降、備蓄地雷の破壊は終了したと報告し ましたが、地雷除去については、期限を2023 年まで延長要求しており、次回の締約国会議にタリバンがどうするのか注目されると、清水代表は締めくくりました。 

 続いて、参加されていた「平和村ユナイテッド」の 小野山さんから、アフガニスタンの若者(小中学生く らい)の支援に関して、爆発物による犠牲は身体的なものだけでなく、精神的な被害も大きく、親を亡くした子どもは復讐を誓い、復讐の連鎖がある。地雷を減 らすと同時に、「平和を作る」活動も必要であるとお話しいただきました。  最後に、クーデター以降厳しい情勢にあるミャンマ ーの国内避難民、地雷犠牲者への緊急支援への呼びかけがなされ、セミナーは終了しました。

JCBL事務局だより

ビルマ/ミャンマーの国内避難民と地雷犠牲者への緊急支援を行います。

 ビルマ/ミャンマーにおいて2021年2月に発生した軍部のクーデターにより、国内の 治安が悪化、NGOによる活動も停止状態が続いています。地方では、地元の各民族 を主体としたグループが軍政と対峙し、大小の武力衝突が絶えず、地元民の多くが 山林などで避難生活を送っています。 

 JCBLは、2017年よりタイ国境に近いカヤー州で地雷犠牲者に対する義足支援を続けてきましたが、地元のパートナー団体であるKNHWO(カレンニー・ヘルスワーカ ーズ・オーガニゼーション)の工房が治安の悪化で閉鎖されたことで、今年度の活動 を見合わせてきました。 

 こうした状況下、10月中旬にKNHWOから、苦境に立たされているカヤー州の国 内避難民と、移動が困難な地雷犠牲者に対する緊急支援を実施したいとの要請を受け、衛生キット、松葉づえなどを臨時で支援することを決定しました。政情不安とコロナウイルスの感染拡大で滞っていた支援を少しずつ再開し、障害を抱える人々の暮らしを支えるとともに、KNHWOの工房再開への足掛かりとしたいと思います。  ご協力、よろしくお願いします。

支援内容:

*衛生キット(タオル、石鹸、消毒液など)の配布。

*歩行困難な両足欠損者に対する車椅子 3台

*地雷犠牲者に対する松葉づえの支援 25本

*義手提供 25人分

南アルプス市立若草小学校の皆さんと「Finish the Job」の動画を作りました。

 ICBL(地雷禁止国際キャンペーン)の企画で、11月15日~19日に開催されたオタワ条約 第19回締約国会議の期間中に会議場で流すメッセージビデオの募集がありました。これは、条約加盟国に対して、2025年までの期限目標まであと僅かであることを認識させるための市民の声です。

 JCBLは、山梨県南アルプス市立若草小学校の6年生に協力してもらい、まだ条約の外にいる33カ国の国旗を掲げて、早期加盟を訴えました。  この動画は、世界各地から集められた動画と合わせて一つのビデオにまとめられ、締約国会議の会期中に断続的に流されました。

 若草小学校の皆さん、ご協力ありがとうございました! 動画は以下のリンクからご覧いただけます。