ランドマインモニター報告書2019Landmine Monitor Report 2019

地雷禁止国際キャンペーン(ICBL:International Campaign to Ban Landmines)は 2019年11月21日10時30分に『ランドマインモニター2019報告書』(以下LM2019)を発表しました。

以下に主な注目点と各分野の主要ポイントを紹介します。

LM2019の注目点

対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)が1999 年に発効されてから21年。ICBLは条約の履行状況を現場の視点で監視し、可視化したデータとして国際社会に提供してきました。2018暦年及び2019年11月までの可能な範囲で、地雷禁止にむけた国際的な取り組みを公開する今回の報告書は、過去20年のレビューを含むことから「特に重要なもの」という位置づけがされています。

大要

地雷禁止キャンペーンの成功で高まった地雷禁止への機運は、市民社会主導による人道的軍縮という全く新しいアプローチを生み出し、4つの国際条約の成立と2つのノーベル平和賞の受賞へとつながりました。

LM2019は、過去20年間のレビューと2018年及び2019年11月の可能な範囲でまでの、地雷のない世界を目指す力強い歩みを報告しています。報告期間に新たに加盟した国はないとはいえ、地雷の使用に対する罪悪感は依然として強く、164の加盟国が条約の規定を忠実に実施し、33の非加盟国も主要な規定を遵守しています。

少数の非国家武装集団(NSAG)が禁止されている武器(多くはIED:簡易地雷=容易に手に入る材料で作られる手製の爆弾)を使用し、それに伴う死傷者が増加しています。しかし、世界の国々は地雷除去に取り組んでおり、モニターは更なる地雷除去、地雷被害者及び地域の支援を行うべく特定を行っています。このように今日、加盟国・非加盟国の双方が地雷除去や地雷関連事項に多くの貢献をしていることが、20年以上前に発行され国際社会に衝撃を与えた史上初の人道的軍縮条約が、変わらず影響を与え続けていることの証となっています。

使用について

2018年半ばから2019年10月までミャンマー(オタワ条約の締国ではない)の政府軍による対人地雷の使用を確認しました。NSAG(非国家武装集団)は報告期間中にアフガニスタン、インド、ミャンマー、ナイジェリア、パキスタン、イエメンの少なくとも6カ国で対人地雷を使用し、マリ、リビア、フィリピン、ソマリア、チュニジアで新型の地雷を使用した疑いがあります。

死傷者について

2018年、地雷と爆発性戦争残存物(ERW)による死傷者は6,897人で、ここ数年認められる簡易地雷による死傷者の増加とリンクして増え続けています。紛争に直面しているアフガニスタン、マリ、ミャンマー、ナイジェリア、シリア、ウクライナなどで多くの被害が認められますが、紛争下における正確なデータ収集は困難であることから、この数を上回る被害が予想されています。死傷者の大多数は民間人(71%)でその54%を子ども(男子84%)が占めています。1999年にトラッキングを始めて以来の地雷/ERWによる死傷者は、13万人以上と報告されています。

地雷敷設地と地雷除去
現在、60の国と地域に対人地雷が敷設されており、アフガニスタン、アンゴラ、ボスニアおよびヘルツェゴビナ、カンボジア、チャド、クロアチア、イラク、タイ、トルコ、イエメンには大量の対人地雷が存在すると考えられています。条約加盟国は過去5年間で少なくとも661,491の地雷を破壊しました。

保有対人地雷の廃棄

条約加盟国は2018年の1年間に破壊された140万以上を含む5,500万以上の保有対人地雷を破壊しました。1999年に加盟国と非加盟国にあった約1億6000万の保有対人地雷は、現在は5,000万未満とみられています。

対人地雷の製造と移譲

現在エジプト、イスラエル、ネパール、アメリカを含む41カ国が対人地雷の製造を停止。LMは過去20年間に対人地雷の移譲は行われていないと考えています。非加盟国である中国、インド、イスラエル、カザフスタン、パキスタン、ロシア、シンガポール、韓国、アメリカの9カ国は公式に対人地雷の移譲を停止しています。

全文はwww.the-monitor.org/en-gb/reports/2019/landmine-monitor-2019.aspxから入手することができます。

(翻訳:上沼美由紀)