2010年11月1日 (特活)地雷廃絶日本キャンペーン プレス・リリース

『クラスター爆弾モニター2010』発行
クラスター爆弾禁止条約発効までの1年

クラスター兵器連合(CMC:Cluster Munitions Coalition)は、本日11月1日『クラスター爆弾モニター2010』を発表します。『クラスター爆弾モニター』は、各国政府のクラスター爆弾に対する取り組みの状況を被害の現場で活動する市民社会が調査・報告するもので、各国にクラスター爆弾への取り組みの透明性を促す役割を果たしています。今回は、世界70の国と地域から80名以上のリサーチャーが、世界のほぼすべての国のクラスター爆弾に対する取り組みの状況を明らかにしています。

『クラスター爆弾モニター2010』の主なポイントは以下の通りです。

クラスター爆弾禁止条約全般
・ 2010年2月に批准国が30カ国に達したことから、2010年8月1日、条約が発効した。
・ 2010年9月7日現在、40カ国が条約を批准している(11月1日現在43カ国が批准)。

クラスター爆弾の使用
・ 2008年12月に条約への調印が開始されて以降、2009年12年にアメリカがイエメンにおいてクラスター爆弾を使用したとアムネスティインターナショナルが報告している。

貯蔵クラスター爆弾の廃棄
・ 4締約国および2署名国がすでに保有クラスター爆弾の廃棄を完了した。廃棄したクラスター爆弾の総計は、17万6千発(子爆弾1,380万発)に上る。その他、ドイツやイギリスなどクラスター爆弾を大量に保有する国でも、既に多くのクラスター爆弾を廃棄した国がある。

訓練目的等のクラスター爆弾の保有
・ 日本、アフガニスタン、オーストリア、ノルウェーなどクラスター爆弾保有国の10カ国が、条約で許されている不発弾処理等の訓練を目的としたクラスター爆弾の保有を行なわない予定である。
・ ベルギー、フランス、スペインはそれぞれ2万発程度の子爆弾を含む数百発のクラスター爆弾を訓練目的等のために保有する予定である。

クラスター爆弾の製造
・ 過去にクラスター爆弾を製造していた15カ国がクラスター爆弾禁止条約に署名・批准を行ない、今後は製造を行なわないことを明らかにしている。
・ 17カ国がクラスター爆弾の製造を続けているか、将来的な製造の権利を留保している。

条約の一般義務に関する解釈
・ 非締約国との共同軍事行動に関する条項の適用範囲については、依然として解釈の幅がある。見解を表明している国(ノルウェー、アイルランドなど12カ国)の多くは、共同作戦において非締約国がクラスター爆弾を使う際に、それを締約国が意識的に支援することは禁止されていると判断している。

投融資の禁止
・ 日本をはじめとする13カ国で、金融機関はクラスター爆弾を製造する企業への投融資を制限する取り組みを進めている
・ ニュージーランドやベルギーなど16カ国は、クラスター爆弾を製造する企業への投融資は条約で禁止されていると解釈している。

クラスター爆弾による被害者
・ 2009年には少なくとも100人のクラスター爆弾による被害が世界中で確認されている。そのうち、ラオスでの被害者は33人に上る。

クラスター爆弾の不発弾の除去
・ クラスター爆弾に汚染された2009年、クラスター爆弾の不発弾の除去活動あるいは調査が行なわれた国と地域は14カ国のみである。

国際協力
・ クラスター爆弾に対する取り組みへの直接的支援は多くはなく、7カ国が総額1,320万ドルの支援を報告しているのみである。

● 日本について
・ 日本政府は、2009年7月に批准手続きを終え、条約の締約国である。
・ 日本政府は、第1回締約国会議で普遍化に関する副議長を務める。また、各種会議においてサイドイベントを企画するなど、条約の普遍化について積極的に動いている。
・ 日本政府は、クラスター爆弾の廃棄のプロセスについてまだ計画を明らかにしていない。
・ 2010年7月、東京三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行および大和証券はクラスター爆弾の製造に対する投融資を禁止する方針を決定した。
・ 在日米軍は依然クラスター爆弾を日本の基地に保有しており、沖縄において実弾演習を行なっている。

地雷廃絶日本キャンペーン代表 北川泰弘のコメント
「ICBLは1999年以来ランドマイン・モニター報告書を毎年発表して高い評価を受けている。その調査チームがCMCと協力体制を組み、各国のクラスター爆弾の政策、使用、被害等を市民の目で調べてまとめたのがこの報告書である。2009年5月に発表した「Banning Cluster Munitions」(288ページ)に続く最も信頼すべき報告書である。」

“Cluster Munition Monitor 2010”は、以下のウェブサイトから全文のダウンロードが可能です。
http://www.the-monitor.org

本件に関する問い合わせ: 地雷廃絶日本キャンペーン事務局 内海旬子