2010/11/24発表
毎年ICBLが発行している『ランドマインモニター報告』の2010年版が、本日発表になりました。
今年のポイントは、対人地雷の使用国、生産国が減少したことです。報告された被害者数も減っています。ただし、被害者数については、すべての地雷に関する事故の報告がちゃんとされている国の方が少ないので、実際の事故の数はわかりません。でも減少傾向になる事は確かでしょう。対人地雷禁止条約の効果が確実に表れています。
以下、今年の主な注目点です。
<地雷の使用>
・ ミャンマーが国家として唯一対人地雷を使用した。また、6カ国(アフガニスタン、コロンビア、インド、ミャンマー、パキスタン、イエメン)で非国家武装集団が対人地雷を使用した。
・ 1999年に第1回目の『ランドマインモニター報告書』が発表されて以降、最も対人地雷使用の報告例が少ない年となった。また、ロシアによる対人地雷の使用が初めて確認されない年でもある。
<地雷の製造>
・ インド、ミャンマー、パキスタンの3カ国が地雷の製造を行なった。
<貯蔵地雷の廃棄>
・ ウクライナが2010年6月の廃棄期限内に廃棄を完了しなかった。これは条約違反に当たる。
<被害者・サバイバー>
・ 地雷・不発弾による2009年の新たな被害者数は3,956人に上る。この数字は1999年以降、最も少なく、2008年より28%減少した。なお、依然としてデータ収集が困難な国があり、実際の被害者数は3,956人より多いとみられる。
<地雷除去・不発弾処理>
・ 6カ国が2009年以降、期限内の除去を完了した。一方で、22カ国が除去期限の延長を申請した。特にベネズエラは約10年前に条約を批准して以降、除去を開始していない。
・ 66カ国および7つの地域で地雷の埋設が確認されている、あるいは地雷の埋設が疑われている。地雷被害国の数は、前年より3カ国減少した。
・ 198平方キロメートルの地雷原が除去された。2009年は、1999年以降、最も除去が進んだ年であった。
・ 除去された全体の面積のうち、アフガニスタン、カンボジア、クロアチア、イラク、スリランカの5カ国で全体の80%を占める。
<被害者支援>
・ 2009年は被害者支援に関する動きの少ない年であった。
・ 多くの国では依然として被害者の数やニーズに基づいたプログラムが実施されていない。
・ 被害者自身が被害者支援プログラムの実施に参加している国は、地雷被害国全体の半数以下である。
・ 被害者支援に対して拠出を行なったドナー国は15カ国のみであり、地雷対策に拠出された全体の金額の9%(3,800万ドル)に過ぎない。
<国際的な資金援助>
・ 地雷対策に拠出された総額は、6億2,200万ドルである。
・ 33のドナー国が54の被害国に対して4億4,900万ドルの支援を行なった。これは2008年と同じ水準であり、過去3番目に高い。
・ 被害国自身が地雷対策に拠出した総額は、1億7,300万ドルである。この数字は、2008年の1億4,400万ドルから増加している。
・ 拠出額の多い上位5カ国は、額が多い順に、アメリカ、EU委員会、日本、ノルウェー、ドイツである。この5カ国で全体の61%を占める。
・ 受取り額が多い上位5カ国は、額が多い順に、アフガニスタン、イラク、カンボジア、スーダン、スリランカである。この上位5カ国でほぼ半分の額を占める。
“Landmine Monitor Report2010″(『ランドマインモニター報告2010の全文は、以下のアドレスからダウンロードできます(英文のみ)。
http://www.the-monitor.org/index.php/publications/display?url=lm/2010/