(特活)地雷廃絶日本キャンペーン プレス・リリース 2011年11月16日 発表
国際社会に定着しつつあるクラスター爆弾禁止条約
『クラスター爆弾モニター報告 2011年版』
地雷禁止国際キャンペーン(ICBL:InternationalCampaign to Ban Landmines)およびクラスター兵器連合(CMC:Cluster Munition Coalition)は、11月16日、『クラスター爆弾モニター報告2011年版(”Cluster Munition Monitor Report 2011”)』を発表します※。
2010年8月に発効したクラスター爆弾禁止条約には、現在111カ国が署名し、批准を終えた66カ国が締約国として参加しています。なお、この中の38カ国が過去にクラスター爆弾の製造、輸出、貯蔵を行なっていました。
『クラスター爆弾モニター報告2011年版』では、以下のことが報告されています。
クラスター爆弾の廃棄
・11の締約国がクラスター爆弾の廃棄を終えた。また、13カ国が期限である8年以内に廃棄を終えるよう作業を進めている。
・締約国が廃棄したクラスター爆弾は60万発、子弾の数は6450万発以上となる。
・大量のクラスター爆弾を保有するイギリス(6700万発)とドイツ(3900万発)は、すでにその半数を廃棄した。
・署名国である5カ国がすでに廃棄を完了した。
条約の普遍化・締約国の広がり
・2010年8月の条約発効以来、新たに28カ国が締約国となった。この中には、クラスター爆弾の被害が残るアフガニスタン、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、レバノンも含まれる。
クラスター爆弾の除去
・クラスター爆弾の被害国28カ国の内、16カ国が条約の署名国あるいは批准国である。これらの国では、除去活動により少なくとも約6万個の子弾が撤去された。
クラスター爆弾の使用
・2011年4月にリビアが北部の都市ミスラタにて、および2月にタイがカンボジア国境にて、クラスター爆弾を使用した。
クラスター爆弾製造企業への投融資禁止
・5カ国が法律でクラスター爆弾製造企業への投融資を禁止している(ベルギー、アイルランド、ルクセンブルグ、ニュージーランド、イタリア)。
・少なくとも19カ国が、クラスター爆弾製造企業への投融資は、条約で禁止されている「支援」にあたるという見解を示している。そのうち、2011年にこの見解を示した国は、オーストラリア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、カメルーン、クロアチア、ラオス、オランダ、セネガルである。
・フランス、ドイツ、イギリス、日本など少なくとも12カ国の金融機関が、クラスター爆弾製造企業への投融資を禁止するなんらかの取り組みを進めている。
JCBL代表理事 北川 泰弘のコメント
「条約が確実に履行されている点は高く評価できる。クラスター爆弾禁止条約が国際社会において着実に定着している。日本政府は廃棄の道筋を早く明確にするべき。また、CCW(特定通常兵器使用禁止制限条約)を5年毎に見直す第4回検討会議が、一昨日の11月14日(月)からジュネーブで開催されており、米国が1980年以前に製造されたクラスター爆弾を禁止し、1980年以降の製造で、不発率1%以下のクラスター爆弾の使用等は禁止しないというCCW新議定書(条約)案の代案を提出した。そして、CCM(クラスター爆弾禁止条約)の締約国である英国が米国案を支持した。米国案が承認されればイスラエル製のM85子弾やスペイン製のMAT-120迫撃砲弾の使用が認められ、CCMの命取りとなる。CCMは世界の4分の3の国々に支持されている。CCW検討会議はCCMを弱める新議定書の制定の審議に時間を浪費すべきでなく、CCMの普遍化と、既に陳腐化した第3議定書(焼痍兵器使用の禁止・制限)の改訂に時間をかけるべきである。」
※ICBLは、1999年に対人地雷全面禁止条約が発効して以来、対人地雷に関する報告書を発表し、各国の条約の履行状況をモニタリングしてきました。その成果は、被害が生じる現場に根ざした市民社会の調査による「信頼できるデータ」として国際社会から注目されています。
“Cluster Munition Monitor 2011”、および関係資料は、本日より
www.the-monitor.org/cmm/2011
にてダウンロードができるようになっております。
本件に関する問い合わせ:地雷廃絶日本キャンペーン事務局