(特活)地雷廃絶日本キャンペーン プレス・リリース 2017 年 12 月 15 日2時1分(日本時間)解禁
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地雷被害者が紛争地で増加
-『ランドマインモニター2017』発行-

地雷禁止国際キャンペーン(ICBL:International Campaign to Ban Landmines)は、2017 年12 月 14日12 時(EST)(日本時間12月15日2時)『ランドマインモニター2017』を発表しました。

対人地雷を禁止する条約が成立してから20年が経ち、政府軍による地雷の使用例は極めて少なくなりました。現在も、2025年までに地雷の被害を終わらせる努力は続いています。しかし、『ランドマインモニター2017』は、アフガニスタンやリビア、ウクライナ、イエメンでの武力紛争によって、地雷や地雷と同様の機能を有する兵器(簡易手製爆弾)、あるいは不発弾によって極めて多くの被害者が依然として生まれていることを明らかにしています。

地雷廃絶日本キャンペーン代表理事の清水俊弘は「昨年に続き犠牲者が増えていることを深刻に受け止め、【新たな犠牲者0】に向けて、再び国際的な政治的意志を喚起する必要がある」と指摘します。
主な注目点を以下に報告します。

被害者の増加 – 子どもの被害者数は過去最悪
2016年に8,605人の被害者が発生し、少なくとも2,089人が死亡した。被害者数が大幅に増加した2015年に続き、2016年の被害者数は1999年に9,228人の被害者を記録して以降、もっとも多い人数となっている。さらに、子どもの被害者数は過去最悪であり、簡易手製爆弾の被害者数ももっとも多かった。また、戦争中に使用されているにも関わらず、2016年の被害者の78%が市民である。

地雷対策への国際的支援の増加
国際的ドナーの地雷対策(地雷除去、被害者支援、回避教育、保有地雷の廃棄、モニタリングとアドボカシー)への支援は2015年の実績から8,550万ドルの増加となり、合計約4億7,950万ドルとなった。また、地雷被害国自身が自国のプログラムに合計約8,500万ドルを支出した。この結果、2016年に地雷対策に使われた資金の合計は全世界で約5億6,450万ドルに上り、2015年から4,000万ドル増加した。

地雷除去活動の継続
2016年は170㎢の地雷原が安全化され、2015年から大幅な増加となる232,000個の地雷が処理された。2017年には、アルジェリアとモザンビークが地雷原の除去を終わらせた。全世界で地雷があると考えられる61の国と地域のうち、33が対人地雷条約の締約国となっており、10年以内に除去を終わらせることが求められている。この中で除去期限内に除去を終わらせる見込みがあるのは4カ国のみ(チリ、コンゴ民主共和国、モーリタニア、ペルー)である。

非締約国による地雷の使用
最近では新たに地雷が使用された例はほとんどないが、非締約国であるミャンマーとシリアでは2016年10月から2017年10月の間に政府軍が地雷を使用した。政府軍ではなく非国家主体が簡易手製地雷を含む対人地雷を使用した国は9カ国(アフガニスタン、インド、イラク、ミャンマー、ナイジェリア、パキスタン、シリア、ウクライナ、イエメン)に上る。
1999年に国際法として成立した対人地雷禁止条約には現在162か国が参加している。この条約では、人による接触で爆発する地雷の使用を禁止している。そのため、実質的に対人地雷として機能する簡易型爆発性装置(Improvised Explosive Devices: IEDs)も簡易手製地雷(Improvised Mine)とみなされる。「イスラム国(IS)」による簡易手製地雷の使用により、新たな被害者と地雷原が生まれている。

上記以外の主要なポイント
・締約国は、2016年に廃棄した220万個の対人地雷を含む5,300万個の保有対人地雷をこれまでに廃棄した。
・ベラルーシは、2017年4月に保有地雷の廃棄を完了した。
・締約国であるアンゴラ、エクアドル、イラク、タイ、ジンバブエは、除去期限の延長を申請しており、2017年12月の第16回締約国会議において承認が議論される。
・ウクライナは、2016年6月1日に迎えた除去期限内に除去を終了することができず、除去期限の延長も申請していないため、条約違反を犯した。保有地雷の廃棄も期限内に行っていないため、条約違反となっている。

ランドマインモニターについて
『ランドマインモニター2017』は12月18日から12月21日にオーストリアのウィーンで開催される対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)の第16回締約国会議に先立って発表される。各国の詳細な情報をオンラインで提供するとともに全体的な分析等も行っている。この報告書は2016年の出来事を対象としているが、2016年11月までの情報も必要に応じて含んでいる。
『ランドマインモニター』はICBL-CMCのリサーチ部門である。ICBLは、地雷禁止に向けた活動が認められ1997年にノーベル平和賞を受賞した。『ランドマインモニター』はICBL-CMCスタッフ、リサーチチームのリーダー、4つのNGO(ダン・チャーチ・エイド、ハンディキャップ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、マインズ・アクション・カナダ)から構成される委員会によって運営されている。

リンク
•Landmine Monitor 2017 landing page, including new maps – the-monitor.org/LM17
•Monitor factsheets – the-monitor.org/en-gb/our-research/factsheets/2017.aspx
•ICBL – www.icbl.org
•Mine Ban Treaty – www.apminebanconvention.org
•Landmine and Cluster Munition Monitor Twitter – twitter.com/MineMonitor

★この件に関するお問い合わせ 地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL) E-mail: office@jcbl-ngo.org