(特活)地雷廃絶日本キャンペーン プレス・リリース 2014年8月27日発表

シリアで民間人に多数の犠牲者
『クラスター爆弾モニター報告 2014年版』発行 

最新版の『クラスター爆弾モニター報告2014(”Cluster Munition Monitor Report 2014”)』は、本日、発行されます。2010年8月に発効したクラスター爆弾禁止条約は、現在113カ国が署名し、84カ国が締約国になっています。なお、2013年後半と2014年前半に新たに批准した署名国はありませんでした。

『クラスター爆弾モニター報告2014』の主な概要は以下の通りです。

クラスター爆弾の使用

・ シリアにおいて、2012年7月から2014年7月の間に少なくとも7種類249個のクラスター爆弾が使用された。この期間中、クラスター爆弾により少なくとも1,584人の市民が犠牲となっている。
・ 2014年前半に南スーダンとウクライナにおいてクラスター爆弾が使用されたが、使用者の特定には至っていない。

保有クラスター爆弾の廃棄

・ 条約成立後、22か国が116万発のクラスター爆弾および1億4,000万個の子爆弾を廃棄した。これは締約国が持つクラスター爆弾の80%、子爆弾の78%にあたる。
・ 2013年7月からこれまでの間に、チリ、マケドニア、イギリス、デンマークの4か国が廃棄を完了した。
・ 主な保有国のうち、スウェーデンは2014年中に、ドイツと日本は2015年中に廃棄を終える見込みである。

不発弾による汚染と除去

・ 2014年7月現在、世界で少なくとも23の国と3つの地域が、子爆弾を含むクラスター爆弾の不発弾によって汚染されている。その中でも、ラオスとレバノンは重度の汚染国である。
・ 2013年から2014年にかけてモーリタニアとノルウェーの2か国が除去を完了した。

犠牲者数

・ 2013年、少なくとも1,000人以上がシリアで犠牲者となった。2013年に、クラスター爆弾による直接的な攻撃によって犠牲者が出たのはシリアのみである。
・ 2013年には10の国と地域においてクラスター爆弾の不発弾による被害が発生している。
・ 犠牲者の94%は民間人である。また、シリアではクラスター爆弾による死者の97%が民間人である。

条約の解釈を巡る問題

・ 非締約国との共同軍事行動中に条約で禁止されている活動を締約国・署名国が支援することは、条約により禁止されていると解釈する締約国および署名国は38か国に上る。他方で、4か国が条約違反にはあたらないと解釈している。
・ 締約国の領土内を非締約国のクラスター爆弾が通過すること、あるいは貯蔵されることを34か国が条約違反と解釈している。なお、5か国が通過や貯蔵は条約違反に当たらないと主張している。
・ 締約国であるノルウェーとイギリスは、アメリカが領土内のクラスター爆弾を撤去したことを確認したとしている。アメリカは、アフガニスタン、ドイツ、イタリア、日本、スペインの領土内にクラスター爆弾を貯蔵している。
・ 9か国がクラスター爆弾への投資を明示的に禁止する法律を成立させた。また26の締約国がクラスター爆弾への投融資が条約で禁止されていると考えている。